オーガニックコーヒーとは?珈琲店マスターが10のPOINTを解説!

COFFEE

オーガニックコーヒーとは何か?
本記事を読むとこんな事がわかります。
・オーガニックとは何か?
・オーガニックコーヒーと通常のコーヒーの違いは?
・オーガニックコーヒーは美味しい?まずい?価格は?
・オーガニックコーヒーのメリット
 などがわかります。

オーガニックコーヒーを専門に扱う
自家焙煎珈琲店のマスターが
珈琲焙煎士10年の経験からわかりやすく解説します。

①オーガニックコーヒーとは?

無農薬・有機栽培のコーヒー

オーガニックコーヒーとは、
農薬や化学肥料を使用せずに栽培したコーヒーの事です。

農薬を使用しないため、農薬のリスクを回避する事ができます。
化学肥料のケミカルな栄養素ではなく、
有機肥料(腐葉土や動物糞など)を使用するため、
自然に近い栽培方法で作られたコーヒーになります。

②有機JASマーク

yuukijas-illustration

日本においてオーガニックと正式に認可されるためには、
有機JAS認証を取得する必要があり、
認証を取得すると、上記の有機JASマークの表示が可能となります。

これは、太陽、雲、植物をイメージしたマークで、
自然の力によって健康に育てられた農作物を意味しています。

この有機JASの規格のルールとしては、
種まきの2年以上前から農薬や化学肥料を
使用しない土壌で栽培された作物であることが
条件としてあげられています。

日本国内のオーガニック認証はこの有機JASマークになりますが、
国際認証期間のOCIA、アメリカのUSDA、
カナダやEUなどにも各国のオーガニック認証があります。

③有機JAS以外のエコな認証

有機JAS認証以外にも、エコでナチュラルな取り組みを
しているコーヒーに与えられる認証があります。

レインフォレスト・アライアンス認証

緑のカエルのマークで、
おそらく多くの方が見たことがあるかと思います。

レインフォレスト・アライアンス公式ページ

この認証は、社会、経済、環境の3つの持続可能性の柱の強化に繋がる
手法を用いて生産されたものに与えられます。

森林、気候、人権、生活水準など
自然や環境を保護する観点はもちろん、
貧困や児童労働など人権や生活問題への対応なども、
含む認証となっています。

そのため、コーヒーやハーブ、スパイスなど農産物のみならず、
林業、観光業などの分野にも与えらる認証になっています。

有機JASとの違いは、有機JASは農薬や化学肥料を使用しない、
食の安全にフォーカスしているのに対し、
レインフォレスト・アライアンスは環境保護、人権保護などの
持続可能性にフォーカスしているのが大きな違いになります。

レインフォレスト・アライアンスにはUTZという独自の
農業基準があり、これは無農薬を表すものではありませんが、
持続可能な農業の推進ということをテーマにしているため、
より安全で自然に近い栽培方法が行われていることの現れとなっています。

フェアトレード認証

フェアトレードとは日本語にすると、公正貿易。
農産物の生産者と消費者が公正な価格で取引をする貿易のことです。
コーヒーという作物は
もともとの歴史的な点で見ると、植民地で栽培され、
先進国が搾取するというシステムで発展してきた産業でした。

そこにはどうしも、支配国が得をし、生産国が損をするという
貧困格差を生み出す不公平な貿易システムが
出来上がってしまっていました。

その不公平を是正し、生産国の人たちが生活するのに必要な
対価を支払い、生活を守ろうという取り組みが行われるように
なってきました。

その取り組みに対して与えられる認証が、
フェアトレード認証です。

主な対象は、コーヒー、紅茶、カカオ、
スパイス、ハーブ、バナナ、ワイン、
などの食品をメインとし、
切花やコットンなども対象となっています。

この認証も有機JASとは異なり、
無農薬栽培を認証するものではありませんが、
農家の人々の健康を害するような農業を削減する
取り組みなどが基本にあるため、
安全な農法によって栽培されているコーヒーであることが多いです。

フェアトレードジャパン公式ページ

④非認証のオーガニックコーヒー

有機JAS認証がなければ、オーガニックではないのか?
と言うと、そこに当てはまらない非認証の隠れた
<実質オーガニックコーヒー>もあります。

コーヒーの生産国は、熱帯に位置し、貧しい国がまだ多くあります。
そのような国や農園では農薬や化学肥料が購入できないために、
農薬や化学肥料の使用ができず、
結果的にオーガニック栽培になっているというコーヒーが存在します。

認証は取っていないけれども、無農薬、無化学肥料栽培を
行なっている、実態はオーガニックのコーヒー豆も存在します。

これらの否認証の無農薬有機栽培のコーヒーは、
無農薬栽培コーヒー、自然栽培コーヒーなどという
名称で販売されていたりします。

⑤オーガニックコーヒーと通常のコーヒーの違い

coffee-difference

オーガニックコーヒーと通常のコーヒーは違いがあるかというと、
これは一言にはまとめる事が難しい事ではありますが、
焙煎士の経験をもとにまとめてみます。

燻蒸(くんじょう)処理

コーヒーを輸出、輸入する際に行われるのが、
この燻蒸処理です。
燻製と似ています。殺虫剤の蒸気でコーヒー豆を燻製にする処理になります。

日本に入ってくるオーガニックコーヒー以外のコーヒー豆全てに
この燻蒸処理が施されています。


コーヒー豆というのは輸出入の際には食品ではなく、
植物として扱われます。

植物として扱われる以上は日本固有の生態系を守る観点から、
外来種の混入を避けなければなりません。

コーヒー豆にはコーヒー豆の中に穴を空けて住み着く
ブロッカ(通称豆食い虫)という小さな虫がいます。
ゾウムシ系の甲虫になります。

この虫を駆除するためにコーヒー豆の中の中まで
強力に殺虫剤を行き渡らせる処理が、この燻蒸処理です。

よく家庭で使われるバ◯サンという害虫の駆除剤がありますが、
あれよりも強力な臭化メチル、リン化アルミニウムという殺虫剤を使用します。
これは劇物指定されている非常に強力な殺虫剤です。

この殺虫剤は常温で揮発するので、
燻蒸後は安全だと言われいますが…

2003年ブラジル産コーヒー、
2015年コロンビア産コーヒーから
基準値超えの殺虫剤の残留農薬が検出され、
輸入がストップしたというニュースが話題になりました。

揮発するから安全…?していないのでは…?
という疑問は当然生じます。

この燻蒸処理を行なうか、行わないかが、
オーガニックコーヒーと通常のコーヒーの大きな違いです。

栄養成分

栄養成分的に、通常のコーヒーと、オーガニックコーヒーには
差はほとんどありません。
コーヒーの銘柄によって個体差が若干あるように、
オーガニックか否かというよりは
コーヒーの銘柄による個体差があるという程度です。

ただ、オーガニックコーヒーは農薬や化学肥料を使用しないため、
残留農薬の心配は一切ないというのが大きな差になります。

普段コーヒーが飲めないというお客様
(気持ち悪くなってしまったり、震えが出る)という人が、
当店のオーガニックコーヒーなら飲んでも大丈夫という
驚くような経験も少なからずあります。

これは科学的に分析しなければわからない事ではありますが、
おそらく農薬や化学肥料、化学薬品の害がないというところが
原因なのではないか?と思っています。

淹れ方・保管の方法

淹れ方や保管方法に関してもオーガニックコーヒーだからと言って、
特別な淹れ方があるわけではありません。
ドリップ、エスプレッソ、サイフォン、水出しなど、
通常のコーヒーと変わらない飲み方になります。
保管も常温なら1ヶ月、それ以上なら冷蔵、冷凍など
通常のコーヒーと同じ保管方法になります。

⑥オーガニックコーヒーは美味しいの?

かつてはオーガニックコーヒーは美味しくないという
評判が多かった時代もありました。

これはオーガニックコーヒーに対する需要が少なく、
オーガニックで豆を育てる技術も乏しく、
良質な豆が生産できていなかったという背景があります。

現在はオーガニックでコーヒーの需要も増え、
それに伴い、オーガニックの栽培技術向上し、
良質なオーガニックコーヒーが作られるようになってきました。

実は、オーガニックのコーヒーは美味しいという話を
コーヒー屋どうしですることがよくあります。

美味しいコーヒーだと思って豆の生産履歴を調べて行ったら
オーガニック認証は取っていない豆だったけれど、
農薬や化学肥料を使用ていない、
実質オーガニックコーヒーだったという事もあります。

化学肥料を使用せず、自然の土壌の力を生かして
栽培されたコーヒーには自然のパワーがある。
コーヒーという植物本来のポテンシャルを最大限に
引き出した栽培方法がオーガニックなのだと思います。
そこにはコーヒーの美味しさが凝縮されています。

私の経験としても、オーガニックコーヒーをお客様に
出した際に、「スッキリしている」「体にすっと入っていく」
という感想をいただくことがよくあります。

これは農薬や化学肥料による雑味やえぐみのない
良質でクリアなコーヒーというオーガニックコーヒーの特徴かと思います。

⑦まずいオーガニックコーヒーもある

残念ながら、あります。
特にスーパーなどで安く売られている有機JASマーク付きの
コーヒー豆、ドリップバッグ商品に多く見られます。

職業柄、いろいろなコーヒーを勉強のためと思い、
購入して飲むことはよくあります。

オーガニックに特化したコーヒー屋をしているため、
有機JAS認証のコーヒー商品は特に気になるところ。

驚くほど安く(一般のコーヒーと同じくらい値段)売られている
有機JASマーク付きのコーヒーを淹れて飲んでみると…。
はっきり言ってまずい…。という経験は多々あります。

これは推測の域を出ない事と前置きをして考察すると、
安いからにはそこに、安さの理由があるはずです。

自家焙煎店など、こだわりのコーヒーを作るお店では、
焙煎前にハンドピックと言って欠点豆と言われる
カビの生えた豆、過発酵の豆、焙煎しても美味しくならない未成熟豆などを
手作業で取り除いて、美味しいコーヒーに仕上げます。

このような作業を人件費の関係から
行わず、豆を輸入したまま焙煎機に投入し、
結果安くて(美味しくない)大量生産のコーヒーを作っている
コーヒー会社、焙煎屋もあったりします。

有機JASを取得している生豆を大量に安く仕入れ、
人件費をかけずに大量生産すれば、
確かに一般のコーヒーと同じ価格で商品として売り出す
ことは可能でしょう。

コーヒーの美味しさは、オーガニックという基準だけでは
測ることはできません。

焙煎士の手間暇をかけて、美味しいコーヒーが出来上がります。

皆さんがハズレのオーガニックコーヒーを
選ぶことのないよう願いつつ…。

⑧オーガニックコーヒーの価格は?

正直なところ、オーガニックコーヒーは
一般的なコーヒーに比べると割高となります。

一概にいくらくらい高いかというのは、コーヒーの銘柄にもよって
価格幅がかなり異なるため難しいところがありますが、
非常にざっくりと把握するイメージでは、
2割から3割程度割高という価格帯が多いです。

無農薬、無化学肥料で栽培するコーヒーには通常よりも
農家の栽培や精選などの作業に手間がかかります。

化学肥料で無理矢理に栄養をつけさせないため、
通常のコーヒー栽培よりも収穫の量が少なくなります。

オーガニックの認証システムを導入、維持するためには
コストがかかります。

上記のようなコストが上乗せされた価格帯となっています。

⑨オーガニックコーヒーのメリット

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オーガニックコーヒーには4つのメリットがあります。

安心・安全なコーヒー

残留農薬の心配、燻蒸処理の心配がないので、
農薬被害の心配をせずに飲むことができる
安心、安全なコーヒーになります。

コーヒーと農薬の話は、
かなり奥が深い話なので、別記事にて書くことにします。

コーヒー農家にとって安全な農業

農薬を使用しないということは、私たち消費者だけでなく、
生産国の農家にとっても大きなメリットがあります。

農薬を散布する際の吸入被害、
農薬を取り扱う際の皮膚への農薬の接触被害等
から病気になったり、長期の入院や
最悪の場合死に至るケースも報告されています。

そのような危険性からコーヒー生産国の
農家の人々を守ることが可能となります。

環境に優しい農業

農薬や化学肥料を使用しない農業は、
土壌を汚染しません。

農薬や化学肥料の土壌汚染は土壌そのものの汚染のみに留まらず、
地下に染み込み地下水も汚染するため、
下流の人々の飲み水にも悪影響が出ることが懸念されます。

オーガニックに準じた農業は、自然の循環の中で営まれる農業になり、
自然環境、地球環境を守ることにつながります。

SDGs・持続可能性

最近よく見聞きするSDGs。
SDGsについての話はそれだけでかなりのボリュームがありますので、
ごく簡単に言うと、「持続可能な発展目標」となります。

つまり、人類が地球環境を守りながら発展し続けるために
やらなければならないことリスト。
というイメージで、だいたいカバーしているかと思います。

これまでの人類の発展は資源を無尽蔵に利用し、
地球環境を破壊し続けてきました。

今、舵を切らなければ人類の存続が危うい。
そのことに世界中の人が気づき、
運動を始め、世界中が国単位でこの施策を実行し始めています。

ここまでの記事をお読みいただいた方は、

もうお気づきかと思いますが、
オーガニックコーヒー、オーガニックな農業は
この持続可能性に直結
します。

つまりオーガニックを実行していれば、
SDGsが達成されるための、かなり大きな要素を
カバーできる可能性が秘められいる訳です。

今後オーガニックという基準、商品、ライフスタイルが
世界中の興味関心になっていく、
もっと言えば、トレンドになっていく可能性も十分考えられます。

⑩まとめ〜オーガニックコーヒーの勧め〜

まとめ

オーガニックコーヒーとは
•農薬、化学肥料などを使用せずに栽培されたコーヒー。
•燻蒸処理も施さないコーヒー。

オーガニックコーヒーを選ぶ際の目安としては
•日本国内の規格としては有機JAS認証。

オーガニック認証ではないけれど、
•レインフォレスト•アライアンス認証
•フェアトレード認証
はオーガニックに近い取り組みをして栽培されている
コーヒーである事が多くある。

また、実質無農薬・無化学肥料栽培の隠れた
オーガニックコーヒーも存在する。

オーガニックコーヒーの味
•オーガニックだから美味しいとは限らない。
•味は焙煎工程のハンドピックや焙煎技術によって変わる。
•残念ながら、まずいオーガニックコーヒーもある

オーガニックコーヒーの
•栄養価
•保存方法
•飲み方
に関しては通常のコーヒーとほぼ同じ。

オーガニックコーヒーのメリット
•安心安全なコーヒーを飲む事ができる
•コーヒー農家にとって安全な農業になる
•土壌や地球環境に優しい農業が可能
•持続可能な農業が可能、SDGs達成の要素となりうる

オーガニックコーヒーの勧め

最近では、オーガニック需要の高まりから、
良質な豆が生産されるようになり、
オーガニックというプレミアをつけた豆が
通常の豆よりも、高値で取引されるような時代になりつつあります。

少し割高ではありますが、その金額は、
手間暇かけて栽培する農家への支援となり、
安心安全なコーヒー栽培を広めることに繋がっていきます。

一杯のオーガニックコーヒーという選択が、
地球環境を守る循環につながっていく小さな一歩になる。
ごく小さなアクションですが、
それが大きなアクションの始まりです。

本当に美味しいオーガニックコーヒーは
美味しい+体への入り方が違います。
クリア、透明、違和感がない。
そんな感じです。

飲む人にも、コーヒー農家にも、地球環境にも優しい
オーガニックコーヒーという選択

是非、初めていただければと思います。

ぜひお気に入りのオーガニックコーヒーを見つけていただき、
オーガニックコーヒーのコーヒータイムを
お楽しみいただければと思います。

しかめがね珈琲
スペシャリティークラスの上質なオーガニック珈琲を自家焙煎しています。
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コメント

  1. 池上哲也 より:

    はじめまして。
    オーガニックコーヒーを検討しておりますが、購入した事がなくおすすめの生豆のご提案をいただきたいです。
    購入サイトなど教えていただければ幸いです。
    よろしくお願いいたします。

    • 池上様

      いただきましたコメントが、こちらの設定のミスだったのか、
      非表示となっておりまして、本日気がつきました。
      お返事が遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした。

      オーガニックコーヒーのご購入をご検討されていらっしゃるとのこと。
      オーガニックコーヒーの店舗もかなりの数があると思いますので、
      ご購入先を迷われることがあるかと思います。

      当店では東ティモールの珈琲を使用しております。
      東ティモールは人の手が入ったことのない山を開拓した
      珈琲畑で栽培される、本当のピュアオーガニックの土壌で
      コーヒーが作られています。
      農薬が一切入ったことがない土地での、本当のオーガニックです。

      小規模な珈琲農家が多く、結果的に手詰みの丁寧な作業となり、
      豆の品質が優れているのはもちろん、
      味の特徴としては、コクやボディー感がありながらも、
      後味がとてもクリーンで、何倍でも飲めるという
      ご感想をよくいただきます。

      当店は東ティモールの珈琲を扱って10年以上になりますが、
      本当に自信を持ってお勧めできる珈琲です。
      是非一度ご賞味いただければと切に思います。

      以下に当店のHPをご案内させていただきます。

      当店販売HPサイト
      https://www.shikamegane-shop
      にてご購入いただけます。

      なお、不明な点、お問合せなどありましたら、
      どんなことでも結構です。ご遠慮なく、
      直接メールにてお問い合わせいただければと思います。
      shikamegane51@gmail.com
      までよろしくお願い致します。

      しかめがね珈琲

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